■
家事に没頭する。めったにしないことだからこそ細やかに、徹底的に。流しの周りやテーブルの上を磨き上げ、隅から隅まで掃除機をかける。邪魔なものがあれば横着せずに脇にどけてどんどん吸い込む。フローリングの部屋には掃除用クロスも使いピカピカに。
汚れを落としながら頭の中も真っ白にしていく。自分の中に区切りができたときの真っ白さといったら、空っぽなのに満たされているという心地よい矛盾で、あぁ掃除って気持ちいいものなんだね、と思う。
でも完璧に仕上げようとするからこそ、めったにやる気が起きない。これは「主婦」として「お嫁さん」という職に就いたとき、「夫」とか「夫の母親」から首を言い渡されかねないのでは、と心配してみるけど当分「お嫁さん」になれる様子もないのでわたしのある意味幸せな心配事がひとつ消えたのでした。
■
パソコンに繋がれたねずみのご機嫌がすぐれない。いや、体調がすぐれないのだろうか。いくら机の上でなめらかに滑らせても、画面上のしるしはかくかくと不自然につまずいてばかり。こっちの機嫌まで下降気味ですよ。
なんていってみたけどマイナスなあの人とうまいこと会えそうで30秒ごとに顔が緩む。えへらえへら。そろそろ脳内で輪郭をたどるのも苦しくなってきた頃なので嬉しいお誘いです、感謝感謝。調子に乗ってお酒を飲み過ぎないように、って手のひらに書いておこう。
■
空にシールみたいにはりついた月が気持ち悪くて、でも目が離せないでよそ見歩きしていたら電柱に曖昧に衝突。小さい頃は自分の足元ばかり見て歩いていたから停められた車やバイクのサイドミラーに顔面で飛び込んでいくことが度々あったし、この間は先を急ぎすぎて自動ドアの存在に気づかず、あ と思った時には開ききっていないドアにぶつかっていた。
■
長かったものを短くふわふわにしてみたら、やっぱりイメージ通りにはいかないものなのね、と鏡の前でふにゃふにゃして、さらにそれをまっすぐに戻そうとしたら中途半端でうねうね子。もう自分で自分の髪の毛をなんとかしようとするのはやめようと心に誓う。(でも前髪はしょうがないよな。伸びる度に美容院、とかやってられるほど暇じゃない、とか言いつつただの面倒くさがり。)
:
終了間際の某美術館展に行ってきた。美術館というものに足を運ぶのは中学生ぶりで、内容をよく知りもしないくせに浮き足立っていた。
なにがあるの 知らない、あ、ローマ風呂? ・・・ あ違うトルコ風呂 ・・・ぷ
ていう具合で、ちょっとは予習しておこう、と免許の方の勉強を放り出して、そこで展示される作品の一点だけ(一点かよ)作品紹介を読んでおいた。入ってすぐその絵に出くわし、あまりに現実離れした美しさにみとれようかというところを人の頭に邪魔される。人間多すぎる。仕方ないので少し下がったところからじー と眺めながらまわった。それでもかなりおなかいっぱい。入場1時間待ちなんてどうでもよくなるくらい濃い時間をすごせた。
もし某ねこ型ロボットくんがいて、時間旅行をさせてくれるならこれらの絵が描かれているまさにその時に連れて行って欲しいよね。