家事に没頭する。めったにしないことだからこそ細やかに、徹底的に。流しの周りやテーブルの上を磨き上げ、隅から隅まで掃除機をかける。邪魔なものがあれば横着せずに脇にどけてどんどん吸い込む。フローリングの部屋には掃除用クロスも使いピカピカに。
汚れを落としながら頭の中も真っ白にしていく。自分の中に区切りができたときの真っ白さといったら、空っぽなのに満たされているという心地よい矛盾で、あぁ掃除って気持ちいいものなんだね、と思う。
 
 でも完璧に仕上げようとするからこそ、めったにやる気が起きない。これは「主婦」として「お嫁さん」という職に就いたとき、「夫」とか「夫の母親」から首を言い渡されかねないのでは、と心配してみるけど当分「お嫁さん」になれる様子もないのでわたしのある意味幸せな心配事がひとつ消えたのでした。