目が、耳が、感覚が、鈍っている。この身に起こるあらゆることがただただ通り過ぎていくのを振り返りもせずやり過ごしているよう。咀嚼もなく飲み込んでいった日常は肉にはならない。
 
ここのところ日記をつける、ということもしていない。春に買った革のノートなどどこにしまったかもわからない。ほとんど日記のために買ったような物たち ―万年筆やらスタンプやら は例のごとく散り散りになってしまっている。
もっと毎日を丁寧に過ごしていけたら、と思う。日常にあふれる様々な出来事を丁寧に記憶して、それをノートに書き出す作業は私にどれだけ幸福な時間をもたらすだろう。自分の字は好きではないし、それがきれいなページを汚していくのは気持ちのいいものではないけれど、書き出していくことでその出来事は事実として刻まれ感情すら忘れていく私に喜怒哀楽を残していく。
日記とはきっとそういうもの。